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あおけんコラム
 
2019年2月13日
「ああ目出度き、サラダかな」
立春から1週間が過ぎ、やっと雛人形を飾ることができた。
1年のうちわずかな期間しか陽の光を浴びてもらうことができないので、もっと早く迎えてあげたいのだが、自らが生みだす日常のざわつきが、おおらかな心の余裕をすっぽりと覆ってしまい、支度が遅れてしまった。

実家から譲り受けた、お内裏様と三任官如。
母方の祖父が買い与えてくれた木目込みのお人形は、佇まいが非常に優雅で表情に少しの棘もない。暗闇の中で1年の大半を過ごしてきたというのに、何の恨めしさもなく優しい微笑みを投げかけている。
見ているだけで心のざわつきがほぐれてゆくのは、雛人形が春の光を放っているからだろうか。

色彩とは春の代名詞だと思っている。
お姫様が身に着けている十二単は色彩の海原だ。三任官如は紅白をまとい、お姫様の色彩を見事に引き立てている。
「ああ目出度きかな、春光の到来よ!」とお人形を飾り、色彩を余すところなく享受しようとした日本文化のなんと高尚なことか。着物を日常から手放し、洋装が常になった我々日本人は、色彩の目出度さと有り難味をどれだけ享受しているのだろう。

1月も中旬を過ぎたあたりから、体が突如として生野菜を欲するようになった。色々な野菜と味を、様々な食感で、モリモリムシャムシャと馬車馬のように食いつきたいのだ。
そして、毎晩翌朝のサラダを仕込む「盛り盛りサラダ」作りが始まった。

今朝のサラダ。
・一口サイズにちぎったレタス
・輪切りしたブラックオリーブ
・キャロット・オニオンラペ(ケイパー、ショウガ、レモン、蜂蜜で漬けた物を常備)
・乱切りトマト
・さっと湯がいた絹さや
・ちぎったパセリ
・マッシュルームのマリネ
・乱切りしたゆで卵
・サイコロに切った木綿豆腐

これにパルメザンチーズ、塩、みかんシロップ、オリーブオイルをかけて頂く。日によって、ここにちりめん雑魚やサラダ寒天、蒸しジャガイモが加わることもある。
このサラダは色々な食感、味の混在だけでなく、緑、赤、白、黄色、黒、オレンジといった色彩の饗宴が眠っていた脳をはっと目覚めさせる。
自分が全く意識もしなければ操作もしていない体の本能というものは凄いなと思う。甘み、苦味、酸味、旨み、渋みで停滞していた冬の体を目覚めさせ、目出度き色彩を全身に取り込み、体の深部から春の芽吹きを猛烈に促しているのだから。
「わたしは知らない、けれどもわたしは知っている。」
無意識はぼーっとしている意識に、見えないものをしっかり見るようにと懸命に声を張り上げる。それが、わたしにとっては「盛り盛りサラダ」という形になって現れた。

まだまだ寒い季節は続くが、土壌の深くに、体の深部に春の芽吹きが生まれようとしている。
灰色の、暗い色彩を脱ぎ捨てて、目出度き色彩を余すことなく享受しようではないか。
麻衣子
 
 
2019年1月30日
「瓶詰めにした太陽光」
色彩を失ってしまった灰色の冬空に、太陽の光のごとく輝く樹木がある。
八朔、伊予柑、夏みかん、甘夏などの柑橘樹だ。
果皮は厚くて剥きにくく、果実は酸味と種があるために、生食の好き嫌いがはっきりと分かれる柑橘類ではないだろうか。
しかし、この負の特性が錬金術の手にかかると、黄金の食べ物として見事に生まれ変わる。

これら柑橘の分厚く、苦味のある果皮は、食用としてママレードや砂糖漬け(ピール)に加工ができる。ママレードは果皮と果肉のジャムで、砂糖漬けは、果皮に砂糖液を染み込ませたものだ。生食だと苦くてとても食べることができない果皮が、人の手と砂糖と時間によって魅惑的な食べ物となる。
いずれも作り方は様々だが、簡単に説明してみよう。

ママレードもピールも、果実と果皮に取り分けたら、果皮だけを沸騰する湯のなかで何度か煮る「湯でこぼし」を行う。苦味を取りながら、同時に厚い果皮を食べやすいように柔らかくするためだ。
しかし、これら柑橘の特性でもある苦味をすべて取り除いてしまうと、ただの甘ったるい食べ物になってしまうので、適度な苦味を残しながら湯でこぼすという経験値が必要になってくる。

さて、簡単に噛み砕ける柔らかさになった果皮。
ピールは果皮についた白くて厚い綿の部分を残し、数日間かけて砂糖液の濃度を徐々に高めて浸透させてゆく。火にかけた鍋で1時間程で仕上げるスタンダードな方法もあるが、時間と砂糖に任せっきりの「放牧スタイル」が何か神秘的であり、また性にあっているので昨年からこちらの方法を採用している。
充分に砂糖が浸透した果皮は、太陽の光が凝縮したような透明感と輝きがある。
これを乾燥させて、グラニュー糖やチョコレートをコーティングして菓子としてもいいし、乾燥させないでパウンドケーキなどの具材にしてもいい。
今冬にせっせと作って冷凍しておかないと、来年の2月分までパウンドケーキにピールを入れることができなくなってしまう。
未来の喜びを貯金するために、一日という時間は台所であっという間に流れてゆく。

ママレードは、果皮についた綿の部分が苦味につながるのですべて取り除き、残った果皮を千切り、もしくはみじん切りにする。これを果実と砂糖で煮込むだけ。とろみ成分のペクチンを抽出するため、袋と種はお茶パックなどに入れて一緒に煮込む。
と、簡単に書いてはいるが、作り手や砂糖の量、煮込み時間、果実を絞るのかそのままにするのかなどによって仕上がりは千差万別。
しかも、毎年同じ味のママレードに仕上がらないというのが面白い。
「今年も太陽の光をこの手で煮詰めたよね?」と自問自答しながら、出来上がったママレードの瓶詰めを、太陽の光に透かしてうっとり眺める。
瓶には、「2019年ママレード」ではなく、「2019年太陽光」とラベルを貼ったほうが、自然界の神秘を讃えるようでいいかもしれない。
麻衣子
 
 
2019年1月18日
「透明な世界」
実家のトイレで桐島洋子の「聡明な女は料理がうまい」(1970年)を読んでいたのは、高校生か大学生の頃だろうか。
そこには未知の世界と生活の知恵がぎっしりと詰まっていて、「いつか、わたしもこんな台所を持ちたいな」という憧れを抱いて本を手にしていたことを覚えている。
一人暮らしを始めたのが25歳だったろうか。
台所には、乾物などを入れた瓶がいくつか並んだ。理由は分かっている。桐島洋子の本に影響されたからだ。
影響力とは不思議な力を持っていて、一度生活に取り入れてしまうと、それは生まれたときからそうしているのではないかという程、当人には当たり前の習慣、常識として定着してゆく。
そしてそれから15年以上たった今、場所を変えた我が家の台所には瓶が溢れている。
当時の影響力は、自らの樹木となり枝葉を広げ大きく成長した。

前回のコラムで年末年始の収納整理について語ったが、この際我が家にはいったい何本の食品保存瓶があるのか数えてみた。
ざっと150本。内訳は以下のとおり。

「乾物」
刻み海苔・大豆・切干大根・ひじき・海草・春雨・刻み昆布・出汁昆布・かつお節・ごま・黒ごま・米ぬか

「調味料」
ブラウンシュガー・グラニュー糖・氷砂糖・上白糖・粗糖・黒糖・てんさい糖・粗塩・片栗粉・カレー粉

「香辛料・ハーブ」
セロリ葉・ローリエ・唐辛子・花椒・マスタードシード・シナモン・八角・コリアンダー・クミンシード・フェンネルシード・パプリカ・ウコン・カルダモン・オールスパイス・クローブ・ナツメグ・カトルエピス

「茶」
麦茶・紅茶・ほうじ茶・ジャスミン茶・中国茶・ココア

「手作り薬用チンキ」
柚子チンキ・枇杷チンキ・ドクダミチンキ・アロエチンキ

「手作り果実酒」
梅酒・金木犀酒・みかん酒・ナイアガラ酒・イチゴ酒

「手作り保存食」
カリン蜂蜜漬け・梅干し甘漬け・新生姜の甘酢漬け・トマト水煮・ズッキーニオイル漬け・梅シロップ漬け・レーズンラム酒漬け・イチヂクワイン漬け・栗渋皮煮・梅酒漬け梅のシロップ漬け・ザワークラウト・ラッキョウ漬け・レモン蜂蜜漬け・杏シロップ漬け・柿シロップ漬け・杏ジャム・りんごジャム・ぶどうジャム・ゆすらうめジャム・イチヂクジャム・カリンシロップ

「手作り調味料」
割り下・中華ドレッシング・ゴマだれ

これら瓶が、冷蔵庫、台所の引き出し、ワゴン、押入れの中で出番を待っている。
そして、使い終わったワインや洋酒、調味料の空き瓶も、同じく次の出番がくるまで押入れの中で眠っている。
なぜ瓶にそこまでこだわるのか?

・まずは保存性が高いこと
・割れない限り、使用耐年数が長いこと
・中身が見えること
・耐酸性があること
・縦長なので保存スペースを取らないこと

しかし一番の理由は、瓶から透けて見える食品の姿が美しいからだろうか。
いや、そこに生活を支える自分自身の姿を見て、満足をしているのかもしれない。
麻衣子
 
 
2019年1月8日
「家と頭の中を整理する」
時間と気力が充分な年末年始、家の収納を大改革して頭の中と生活を見直した。
日常生活で生まれる大小様々なストレスは、放っておくと膿となって心身を蝕み、健全であるべき生活を不安定にしかねない。
そのために、日々自分を苛立たせている家の中の事象を洗い出し、その解決法を探ることが大切になる。

さて、我が家はひとり暮らしなのに物がいっぱい。
空き瓶、空箱、瓶詰め保存食、貯蔵食品、書籍、登山道具、買い集めた靴や服に鞄。
押入れと納戸はこれ以上の隙間はないという飽和状態。
押入れの奥に入れたものなどすでに頭の記憶に微塵もなく、一年経ってやっと陽の光を浴びることの繰り返し。このような押入れの明暗な出し入れが、自身を日常的なストレスにさらしていることに気がつき、解決策を模索していた。

イケア長久手店へ毎月ドライブがてらにバイクを走らせ半年以上になる。
買って、使って、納得し、通うたびに新たな発見がある場所だ。単なる購買意欲とは少し訳が違う。
使い勝手が良く汎用性の効くものは、シンプルなのに、形状、機能がとても良く考えられている。
このような製品はデザインが頭の中でこねくり回されたのではなく、生活の実感から生み出されたプロダクトデザインであるということがしみじみと感じられる。

その中でも、一度買って半年の間に5回もリピート購入したものが、3段式のワゴン「HORNAVAN(ホールナヴァン)」。
真っ白なただのキャスター付きの棚で、値段は1499円。サイズは26×48×77センチ。
使い勝手がよく、家中この棚で埋め尽くしたいくらいに惚れ込んでいる製品だ。
普通、家具は設置スペースを取るので部屋が狭くなると考えるが、それがあるからこそ部屋が広く感じるという家具もある。
我が家はキッチンに3台設置し、瓶詰めにした調味料や保存食、お茶、医薬品、水筒、根菜類、ごみ分別、掃除道具などを収納している。
ワゴンなので収納したものは丸見えだが、これでいい。見えないと何がどこにあるのか分からず、探す時間やストレスが増すだけでなく、収納している物の存在意味さえなくなってしまう。
これだと、調味料の買い置きは一目瞭然。梅干や新生姜の甘酢漬けなど、朝食の副菜や各種お茶もぱぱっと手を伸ばして取り出せるので、無駄な動きがなくなった。

たかがワゴン、されどワゴンだ。
玄関横の納戸にも2台設置し、トイレットペーパーや水、タオル、家の手入れ道具などをスッキリ収納。
このワゴンに取り付けられる小物入れ「SUNNERSTA(スンネルスタ)79円」で、暗闇に閉じこもっていた物が陽の光へ次から次へと姿を現す。
家だけでなく、自分の体の中にもさわやかな風が吹き抜ける心地だ。
収納を考えることは、自分が営む日常生活を考えることと同じことだ。
自分に必要なものや不必要なもの、自分の価値観などが理屈ではなく現実そのものとして見えてくる。住まうとういことは生活を整理することで、それは生活技術ということに繋がるのかもしれない。

今回、我が家の収納改革をするにあたり、改めて食品関連のものが多いことを認識したが、それらは自分の生活を潤してくれる趣味そのものであり、自分の分身で大切なものであると歓迎できたことは意外な出来事であった。
他人には無駄な空き瓶も、わたしには保存食を作るための大切なツール。
物の所有を否定するのではなく、肯定して前へ進んでゆくことのできる収納改革を手助けしてくれたイケアのプロダクトデザインの哲学に、身をもって感謝する年末年始であった。
麻衣子
 
 
2019年1月1日
「年始のご挨拶」
新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年の10月末からジョギングを始めました。その日の都合に合わせて、6km〜8kmを走っています。最初は全く走ることが出来ず、歩きたくなったりペースが遅かったりしましたが、2〜3日走って休息日を設けて2ヶ月も経つと1kmあたりのペースも少しずつ上がってきました。

40歳を超えて急激に代謝が悪くなり、中性脂肪とコレステロールが溜まってきたことに対しての嫌悪感からジョギングを始めましたが、最近ようやく走ることが「楽しい」と思える気がしています。(笑)

こうやって少しずつ…牛歩のように、建築的思考や個人的な心の内部も向上して行けるよう今年も頑張っていきます!!
圭成
 
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